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第13章 その13

隣のスペースの音や振動も止まり、
シーンと静まり返った。


優美も我に還ったけれど、（祐司………
私もかなり悪かったよね）と反省の気持ちが押し寄せる。

隣カップルに誘われるように1人でしてしまったものの、
脳裏に浮かんだのはイチャイチャしているときの祐司の顔。

上から覆い被さり欲望と情愛に満ちて優美を見る、
男らしい眼差しだった。


隣カップルが帰っていく足音がした。きゃははは、と女性が楽しそうに笑っている。


優美も、そろそろ帰ろうと思い服を直してコートを羽織り、バッグと〔風呂屋セット〕を持って【湯らり】を後にする。


帰り道、
携帯を取り出し祐司の番号を押した。直ぐ祐司が出た。
「…………もしもし？時間いいの？
お疲れさま。……ごめんね。私大人気なかったよね」素直に思ったことを告げた。

――俺も悪かった、
また土日にでも温泉いこうな。必ず休みを取るから。

携帯の向こう側で喋りながら照れて笑っているだろう祐司の顔が浮かんで、
優美は帰路を急いだ。


〜〜end〜〜