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第15章 その15

午前中の空き時間に軽く昼食を取っておき、

昼からの業務に備えた。。

「宮下クン、
ハット被れって言ったのに(笑)」店長が笑いながら言う。。


この女性店長・境【ｻｶｲ】さんは、店舗が増える前からの超ベテランスタイリスト。


そのお客様の髪質や顔型から瞬時に判断し、
お客様が望んだ想像以上のスタイルを作り上げる。

技術が凄い人なのだ。
もちろんお客様は満足どころではないから、
リピーターは多く指名もトップ。

既婚者で子供がいる。

以前から「あなたはハットが似合うから、
就業中に着てなさいな」とアドバイスをしてくる。


ボクはヒョロッと背が高いだけで、
垢抜けた印象がない。猫背気味で、髪は真っ黒。
美容師なのだから、奇抜なくらいが丁度いいのだろうけど……（境店長も加賀さんも奇抜だ）
どうも自分のコーデだけは苦手なのだ。
友人たちからも『お前ほど美容師らしくない美容師もいないわな』『どっちか言うとスーツ着てPC叩いてそう』とからかわれる。


夏場はクラッシュデニムにTシャツ。
冷えてくるとジャケットと革靴をプラスするだけ。


以前よりも少しはマシになったほうだ。