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第17章 その17

同級生や友人には、
早い結婚をした子も居るしまだ独身も沢山居る。


だけど。。

（あたしは結婚したいんだよぉぉ〜〜〜）

心の叫びである。


だが……
今のところ彼も居ない（2年前に学生時代から交際していた卓巳【ﾀｸﾐ】にフラれた）、
合コンやお見合いパーティーも参加したけど2回会うと進まない。
痩身に肩までの茶色いストレートヘア。飛び抜けて可愛くもないが、あり得ない顔でもないとは思う。会話は広く浅くできるとは思っている。無愛想、でもないとは思う。

こういった悩みを抱えているため、
耳の遠いお年寄り患者への説明もイラつくのである。

「あんだって？」
爺さんが耳をこちらに近付ける。

（志村けんか？
それは〔バカ殿〕の真似なのね？？）ツッコミつつ…………

「ですからね、
耳鼻咽喉科は右へ曲がって突き当たりです！！」


「右へ……？」

「右曲がって真っ直ぐです！！」

「そりゃ、難儀じゃのぅ……」しゅんとして俯いている。


仕方ない……
一緒に行くしかない。

後方からベテランの先輩女性が睨んでいるのが背中で分かる。


「ではっ、一緒に行きましょうね〜〜〜」

波留はカウンターから出て、お爺さんの手を軽く引き案内する。


（はぁ…………
ため息吐いたら幸せ逃げちゃうけど）


吐かずにはいられない。
波留は奥二重の目を伏せ肩を落としてしまう。

派遣雇用も期間が無くなったとはいえ、
ココで正社員になる見込みなどない。
あたし以外も全員派遣なのだから。

地方では病院にも不況の波が影響しているのだ。

小さい子供連れの女性を見ると、
思わず羨望してしまう今日この頃………


（いくら自己分析したトコロでね…）
少し自虐も入った………