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第19章 その19

「おはようございまーす」
佐川亜弥【ｻｶﾞﾜｱﾔ】25歳は、
事務所に顔を出した。


「おはよう」
「お疲れさーん」


夕方5時。


配送の仕事へ出勤したのだ。
もうすぐ夜だけど、出勤すれば「おはようございます」と挨拶する奇妙な空間。


昨今、
需要が増えたデリバリー食材。


この〔タカタ食品〕では、食品製造が根本的業務だったらしいが、
時代に追い付かず……

数年前から『デリバリー食材』の部署を併設した。



スーパーとして店舗にもしている。
亜弥は、3年前は社員だった。

不況の波は、
一番にこういった個人経営の店舗に来るのだ。

『準社員になってくれないか』と社長から話があり………
断れずにそのまま居る。


『免許所持者と車持っている人はこちら』
と、デリバリー食材部署へと異動になった。


転職も考えた。しかし、この会社に居る理由があった。亜弥はその社長と交際している。