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本日もエロ日和なり
第19章 その19
〔社長と交際〕と言えば聞こえは良い。

しかし亜弥の場合、
人が羨むような〔社長〕ではなく……


傾いた自営業の跡継ぎと付き合っているのだ。


友人たちからは非難の嵐である。
『何も自営業と付き合わなくても』
『うわぁ、もう先が見えちゃってるじゃん』
『夢がない』
とズタズタである。



準社員という雇用形態も、綱渡りのようなもの。


「あっ、亜弥!」
タイムカードを押して事務所から出ると、
当の〔傾いた社長〕である高田晴樹【タカタハルキ】30歳が亜弥を見て小走りに駆けてきた。


亜弥は事務所横にある鏡の前で、背中まであるストレートの茶色い髪を結ぶ。
「おはよう」

「おはよう♪♪♪」
晴樹は満面の笑みで嬉しそうに隣に立つ。



亜弥は冷めた性格だ。
よく『怒ってる?』と友人からも訊かれるという、
損な雰囲気。
唇の形が生まれつきツンと上を向いており、
怒っていなくても済ましているように見える。
加えて目も奥二重で、切れ長気味だ。

口元は意識して口角を上げないと『への字』型になる。


対して、
晴樹は素直である。愛想が良く老若男女から好かれるタイプだ。
背は高め。
若干猫背で黒髪を短く切っており、
派手な格好はしない。
人の好さが全面に出ている。目がはっきり二重で、イケメンの部類に入るだろう。笑うと目尻が下がり、さらに朗らかな顔になる。

(この、素直な顔見るとダメだなぁ)
思わず気持ちが綻んだ。


晴樹の両親は健在で、
家族経営である。
2つ上に姉が1人居り、結婚して隣の市へと嫁いだ。
だが、
弟が頼りないと見抜いているのか?
昼間は事務員として勤めている。
この姉が事実上は会社を動かしている。
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