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第21章 その21

「パパぁー、アメしゃん買ってぇ〜〜〜」

「ママに怒られるから、我慢！」

「ヤダヤダ、アンパンマンのアメしゃんあったー。
アメしゃん食べるー」


はぁ…。
麻田裕太【ｱｻﾀﾞﾕｳﾀ】29歳は、
息子の奏多【ｶﾅﾀ】の手を引いてため息を吐いた。


寒波が押し寄せた、
2月の土曜日。


嫁さんはエステティシャンのため、
土日も出勤だ。
裕太の仕事はメーカー勤務のエンジニア。
土日が休みだから、
奏多の世話をしている。


3歳になった奏多。



お昼過ぎ、裕太は厚着をさせて自宅マンションから奏多を連れ出した。


強い寒波が来たから、
外は極寒である。

当然だけど奏多にも風邪は引かせたくない。


だが……
奏多は昼間動かせ疲れさないと夜寝ないのだ。
そうするとオレが嫁さんに怒られる。

自家用車のノアのチャイルドシートに座らせて、
市外のショッピングモールに連れて来た。