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第23章 その23

畑中雄星【ﾊﾀﾅｶﾕｳｾｲ】は、
スーツケースを抱えて会社の門を出た。



寒い季節。
夜7時までサービス残業をして、
片手では疲れた肩を叩く。


会社は大きな通りの端に有る。

雄星は、
同じく帰路に着くサラリーマンに混じってトボトボ歩いた。


最寄り駅まで徒歩12分。



就職して6年経つ。29歳。
業務内容遂行・時間の使い方・
しんどい時の逃げ方……


などなど、
大分上手くなってきた。


スマホを取り出して、
〔イマどこ？サーチ〕
というGPS機能を動かす。
最近は便利な世の中で、
GPS機能を搭載した機器が沢山出回っている。

（止められないんだよなー）


友人も少なく、
コンパや飲み会で女子をゲットする術も持っていない。
中肉中背……より少しやせ形か。
パッとしない見た目。

笑うと目が無くなる。
色白、
黒髪を短く刈っている。

男友達とつるんでは飲んでいたが、
退屈になった。


２ヶ月前、
暇を持て余した雄星は会社帰りに路地裏で見つけた野良猫の首に、
小型カメラを付けてみた。