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本日もエロ日和なり
第28章 その28
『高津【たかつ】くーん、悪いけど棚から部品卸してくれるー?』



『はあーい!』


高津秋【たかつあき】(23)は、
軍手のゴム部分を引いて履き直した。


運送会社の倉庫でのバイト。

脚立を置いてサッサと登る。

『植田【うえだ】さん、はい』


『ありがと〜〜〜』
50代の事務員・植田さんは『助かるわぁ』と部品が入った段ボールを抱えて事務所へと戻っていく。


秋は煤で汚れた顔を、
肘の部分で拭う。


2年前に大学を中退した。
元々勉強は苦手だったし、三流大学はつまらなかった。
2年の後期から通わなくなって親にバレてしまった。「高いお金で行かせたのに」となじられてしまった。「せっかく入ったんだから卒業しなさい」と。

秋は『自活するから、それで勘弁して』と意固地に言い続けた。



「いまどき大学くらい出てないとダメ」が親の言い分だったけれど、
大人しく友達も出来ず、
目的すらない大学に在籍していること自体が嫌になった。



退学したあと家を出た。


住み込みの寮がある仕事を探し、
数ヶ所転々としたものの現在は安いアパートを借りて住んでいる。

おんぼろで風呂・トイレは共用という、
レトロな建物だ。



似たような男ばかりが集まって住んでいる。

秋には気楽だった。


昼間は運送会社の倉庫作業、
夜間は警備会社にて道路警備。

むさいバイトばかりで年下の秋はこき使われる。



―――けど、
自分で得たお金で暮らせることは秋に取って新鮮だった。
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