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第28章 その28

『―――いい？
再生押すよ』


隣室の佐竹くんは胡座をかいて座り、
『うん』と生唾を飲み込んだ。




秋はDVDプレーヤーを持っていない。
テレビは中古の小さい画面のものを設置している。


スマホでエロサイトは見るけれど、

たまに臨場感を味わいたい。


そんな時は隣室の佐竹くんに『エロDVD見ようよ』と持ち掛ける。


佐竹くんのプレーヤーを借りる代わりに、
一緒に見るという交換条件。


佐竹くんはゲーム会社の社員らしい。ゲームのBGMを作っているそうだ。
ただ、内向的過ぎてアパートやマンションに居るとノイローゼ気味になるという変わり者。
土曜の午前中、久しぶりに警備バイトが休みになり秋は9時に起きて隣室をノックした。

カーテンを閉めて画面に見入る。

画面では〔桃井なほみ〕がインタビューを受けている。
スリーサイズ・経験値などを答えたあと、
画面はいきなりホテルの一室に切り替わった。

〔ああっ……
ああん、ああんっ〕

なほみが組み敷かれている。
男優が上からのしかかり、指を出し入れしている。


なほみは脚を大きく開いて可愛らしい顔を歪めていた。

男優の手の動きが速くなり、
なほみが叫ぶ。


透明の液体がブシャッと弾け飛んだ。

『あっ』
隣で佐竹くんも何故か叫ぶ。


『………エッロ………』
秋も思わず呟く。


女子と付き合った経験は1回だけある。
高校生の頃だ。
キスもしたしペッティングもした。
黒髪ロングの大人しい子だった。
sexをしようとしたら、
相手が痛がって結局出来なかった。



２ヶ月に1度は風俗に通う。
ヘルスだから最後まではさせてくれない。