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お願い、俺を選んで。
第2章 予感



見渡す限りの桜並木。


淡いピンク色の花びらが、宙をひらりひらりと踊るように舞っている。


歩道にもたくさんの花びらが落ちていた。落ちていた、というよりは初めからそこに敷き詰められていたように、コンクリートの色が見えないほどじゅうたんのようにピンク色に染まっていた。


履き慣れない真新しい革靴で桜並木を歩いていく。爽やかな空気とは裏腹に、足取りは重い。


歩く先には、今日から通う大学のキャンパスが桜の木から見え隠れしている。そこまでの距離はさほど遠くはずなのに、今の俺には遥か遠くにあるように思えた。遠くにあるように思いたかった。


のろのろと歩いていると、ふと、微かにマイクを通した男性の声が聞こえてきた。式のあいさつだろうか。


「やっぱ間に合わなかったか...」


分かってはいたが、やはり入学式には間に合わなかったみたいだ。


式に出るのは諦め、立ち止まってそばにあった古びたベンチに腰掛けた。項垂れると、はぁ、と小さなため息が出た。


式に出ないでこんなところに座ってるって知ったら、母さんはどんな顔をするだろう。


俺が式に出ていないと気付いたら、龍樹はどう思うだろう。



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