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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第4章 入内の勅命
 それから半月、何かと都の人たちを難儀させていた梅雨も明けた。暦はそろそろ文月も終わろうかというある日のことである。
 その朝も薫子はいつものように都の目抜き通りに露店を出した。周囲は皆、似たような露天商がひしめいている。軒を連ねている小間物屋の主人といつものように賑やかにお喋りしていると、早速、母親に手を引かれた幼い子どもがやって来た。今日一番の客だ。
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