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初めて知る痴愛の味
第13章 枯れる花と咲く花
図書館を出て真っ先に入って来たのは口と鼻から入った冷たい空気と木の混ざった匂いだった
館内に居た頃から覗かせていた周辺の景色に降り注いでいた黒と橙色の調和は、文章に目を通していた間中ずっと心の中心に気づかないほど小さい棘で刺してきて、その傷から悲哀の感情が流れ出てきていた
でも、先ほど知りえたこの土地のことを思うととても愛おしく思えて、先ほどまで体中を駆け巡っていた知識欲の高ぶりは収まり、やっと館内の静寂さを感じ取ることができたのだけれども、今度はその日差しが目を刺し、思わず左手で顔を覆ってから歩き始めたのだ
ここを訪れた時は意識しなかったコンクリートを踏む感触にも慣れ始めた頃には既に車のドアを握っていた
車に反射した光で目を瞑り首を横に向けて、車内へ入る前に駐車場を眺める
哀しい光に包まれて佇む自販機はそこに長い間存在することを許されていない様に思われた
家へと帰る時には何も感じず、何も考えずに運転していた
既に暗くなった高速道路で自分の顔を電灯が通過していく
まるで時が止まったように音は無く、前を見ているが胸ポケットに入っているメモ帳の感触だけは非常に鮮明であった
というのも、今日知りえたこの情報を書き留めたメモは自分にとって無くしてはいけない宝物の様な存在に感じられたからだ
そして今日訪れた景色ことを何度も何度も頭の中で巡ってから、昔育ったあの家へ行かなかったことを少しだけ後悔した
だが、彼が昨日まで感じていた孤独が和らいだように思える
その日以降、見知らぬ女性と関係を持とうとはしなかった
以前の様に何か新しく始めようという意志さえ持つ気分になっていたが、ここで自身の身の周りのことについて冷静に考える余裕ができるようになった
考える余裕ができた以上、彼にとって見過ごせない案件が一つあった
それは柏尾菜々とした約束のことだった
やはり先生が教え子と男女の仲になるということがどうしても自分を許せない
というよりも、柏尾菜々のことを一人の女性として意識していないにも関わらず、彼女からの告白にイエスと返事した自分の気持ちの弱さに対して腹が立って仕方がなかったのだ
彼は次の月曜日にしっかりとそのことを伝えようと決心した
その風貌はまるで青年のようだった
自宅に帰って来て、ドアを開けた瞬間に携帯が鳴る
「もしもし」
「もしもし、警察署の者ですが」何かが胸の内に湧いたのだ
館内に居た頃から覗かせていた周辺の景色に降り注いでいた黒と橙色の調和は、文章に目を通していた間中ずっと心の中心に気づかないほど小さい棘で刺してきて、その傷から悲哀の感情が流れ出てきていた
でも、先ほど知りえたこの土地のことを思うととても愛おしく思えて、先ほどまで体中を駆け巡っていた知識欲の高ぶりは収まり、やっと館内の静寂さを感じ取ることができたのだけれども、今度はその日差しが目を刺し、思わず左手で顔を覆ってから歩き始めたのだ
ここを訪れた時は意識しなかったコンクリートを踏む感触にも慣れ始めた頃には既に車のドアを握っていた
車に反射した光で目を瞑り首を横に向けて、車内へ入る前に駐車場を眺める
哀しい光に包まれて佇む自販機はそこに長い間存在することを許されていない様に思われた
家へと帰る時には何も感じず、何も考えずに運転していた
既に暗くなった高速道路で自分の顔を電灯が通過していく
まるで時が止まったように音は無く、前を見ているが胸ポケットに入っているメモ帳の感触だけは非常に鮮明であった
というのも、今日知りえたこの情報を書き留めたメモは自分にとって無くしてはいけない宝物の様な存在に感じられたからだ
そして今日訪れた景色ことを何度も何度も頭の中で巡ってから、昔育ったあの家へ行かなかったことを少しだけ後悔した
だが、彼が昨日まで感じていた孤独が和らいだように思える
その日以降、見知らぬ女性と関係を持とうとはしなかった
以前の様に何か新しく始めようという意志さえ持つ気分になっていたが、ここで自身の身の周りのことについて冷静に考える余裕ができるようになった
考える余裕ができた以上、彼にとって見過ごせない案件が一つあった
それは柏尾菜々とした約束のことだった
やはり先生が教え子と男女の仲になるということがどうしても自分を許せない
というよりも、柏尾菜々のことを一人の女性として意識していないにも関わらず、彼女からの告白にイエスと返事した自分の気持ちの弱さに対して腹が立って仕方がなかったのだ
彼は次の月曜日にしっかりとそのことを伝えようと決心した
その風貌はまるで青年のようだった
自宅に帰って来て、ドアを開けた瞬間に携帯が鳴る
「もしもし」
「もしもし、警察署の者ですが」何かが胸の内に湧いたのだ

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