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初めて知る痴愛の味
第13章 枯れる花と咲く花
またしばらくの間車を走らせてから高速を降りて市街地に入る
非常に歩道がせまい所が続き、コンクリートブロックで作られた塀が軒下をすっぽりと覆ってしまって灰色の上に黒い瓦とそれに包まれてしまっている小豆色の雨どいが目に映るかと思えば急にブロック塀が途切れ、明らかに何十年と時間が経っていることがわかる玄関が姿を現す共に、そこに住むお婆さんが丁度出かける姿が窺えた
玄関から歩道へと繋ぐ道は石でできており、その道を囲うようにして鉢植えがいくつも並んでいる
いずれも春になったら生命で溢れるのだろう、今は渇いた土しか無いけれども花々が立派に咲き誇っているのさえ刹那の内に焼き付けた景色には現実など関係無くはっきりと浮かんでくる
でも想像の中の花は一つとして名前は分からなかった
分からなかったというよりも理解できなかったのかもしれない
古けれども密集していた家々の濃度はだんだんと薄れていって代わりに、土色が増えて来た
彼はその景色に包まれながら車を進めて行ってあるところで横道に逸れて、不意に停めた
そこは舗装されていない白と枯草の道から垂直に伸びた畦道が奥に見える山まで広がっているものであった
田の中は小さな地割れが起こったかの様に媚茶色の罅が無数に入っていた快晴であって白色と空色がある程度境界をはっきりとして見られた
もう少しちゃんと見ると空色と白色だけという訳ではなく空色の中には青藤色も混ざっていたり、煙の様に雲が薄く撒かれている箇所も発見した
かれはその場所に来た覚えがあった
いつ、どんなことをしている時にこの景色を見たのかは思い出せないが、彼を奮い立たせるには充分であった
それから彼はその地を離れると自分がかつて住んでいた地域を車で回ることにした
しかしながらその中に彼の心を擽る様な出来事も景色も無かった
見た覚えは無いのに昔、自分がこの場所で暮らしていたという事実が脳を駆け巡る度に神社も橋も山でさえも記憶している錯覚に陥る
次に向かったのはその地域の図書館であった
自動ドアを通ってまず郷土誌を探し回った
自分が住んでいた場所の江戸時代の地図や、車で回った時に見つけた橋、神社のことについて載っている分厚い本を膝上に乗せながら持ってきたメモ帳に自分が知りたかった情報をまとめていく
震える指の儘にボールペンを素早く走らせた
どうやらこの土地にも積み上てきた歴史があるらしい
非常に歩道がせまい所が続き、コンクリートブロックで作られた塀が軒下をすっぽりと覆ってしまって灰色の上に黒い瓦とそれに包まれてしまっている小豆色の雨どいが目に映るかと思えば急にブロック塀が途切れ、明らかに何十年と時間が経っていることがわかる玄関が姿を現す共に、そこに住むお婆さんが丁度出かける姿が窺えた
玄関から歩道へと繋ぐ道は石でできており、その道を囲うようにして鉢植えがいくつも並んでいる
いずれも春になったら生命で溢れるのだろう、今は渇いた土しか無いけれども花々が立派に咲き誇っているのさえ刹那の内に焼き付けた景色には現実など関係無くはっきりと浮かんでくる
でも想像の中の花は一つとして名前は分からなかった
分からなかったというよりも理解できなかったのかもしれない
古けれども密集していた家々の濃度はだんだんと薄れていって代わりに、土色が増えて来た
彼はその景色に包まれながら車を進めて行ってあるところで横道に逸れて、不意に停めた
そこは舗装されていない白と枯草の道から垂直に伸びた畦道が奥に見える山まで広がっているものであった
田の中は小さな地割れが起こったかの様に媚茶色の罅が無数に入っていた快晴であって白色と空色がある程度境界をはっきりとして見られた
もう少しちゃんと見ると空色と白色だけという訳ではなく空色の中には青藤色も混ざっていたり、煙の様に雲が薄く撒かれている箇所も発見した
かれはその場所に来た覚えがあった
いつ、どんなことをしている時にこの景色を見たのかは思い出せないが、彼を奮い立たせるには充分であった
それから彼はその地を離れると自分がかつて住んでいた地域を車で回ることにした
しかしながらその中に彼の心を擽る様な出来事も景色も無かった
見た覚えは無いのに昔、自分がこの場所で暮らしていたという事実が脳を駆け巡る度に神社も橋も山でさえも記憶している錯覚に陥る
次に向かったのはその地域の図書館であった
自動ドアを通ってまず郷土誌を探し回った
自分が住んでいた場所の江戸時代の地図や、車で回った時に見つけた橋、神社のことについて載っている分厚い本を膝上に乗せながら持ってきたメモ帳に自分が知りたかった情報をまとめていく
震える指の儘にボールペンを素早く走らせた
どうやらこの土地にも積み上てきた歴史があるらしい

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