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ドアの隙間
第13章 あとがき
望は怯まずに私の手を掴み、石崎の手をその上に重ねた。
「仲良しは手をつなぐんだよ」
「っ……あ、あの、ごめんなさい」
慌てて手を離そうとすると、石崎の手に力がこもった。
「奥様、いえ……奈津美さん」
「………」
「このまま、私と一緒に歩いてくれませんか?」
その目はいつもの涼しげな眼差しではなかった。
「あ、あの……私……」
もういいだろうか。先に進んでも大丈夫だろうか。
あなた……
「望も一緒に歩いてもいい?」
娘はにこにこと笑っている。
「もちろん三人一緒だよ」
「わーい、やったー!」
理解しているのかいないのか。見つめあう私と石崎の周りを、嬉しそうに跳び跳ねる愛しい娘。
石崎の包み込むような視線から思わず目をそらした。
見上げた秋の空には飛行機雲が浮かんでいる。それは前に向かって真っ直ぐに伸び、澄みきった青空に白い道を描いてゆく。
――さあ、歩き出すんだよ奈津美。
私は石崎の手を強く握り、「はい」と頷いた。
完
「仲良しは手をつなぐんだよ」
「っ……あ、あの、ごめんなさい」
慌てて手を離そうとすると、石崎の手に力がこもった。
「奥様、いえ……奈津美さん」
「………」
「このまま、私と一緒に歩いてくれませんか?」
その目はいつもの涼しげな眼差しではなかった。
「あ、あの……私……」
もういいだろうか。先に進んでも大丈夫だろうか。
あなた……
「望も一緒に歩いてもいい?」
娘はにこにこと笑っている。
「もちろん三人一緒だよ」
「わーい、やったー!」
理解しているのかいないのか。見つめあう私と石崎の周りを、嬉しそうに跳び跳ねる愛しい娘。
石崎の包み込むような視線から思わず目をそらした。
見上げた秋の空には飛行機雲が浮かんでいる。それは前に向かって真っ直ぐに伸び、澄みきった青空に白い道を描いてゆく。
――さあ、歩き出すんだよ奈津美。
私は石崎の手を強く握り、「はい」と頷いた。
完