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ドアの隙間
第9章 ふたり
夢ではないと、互いの身体で確かめなければならない。全て与え、全てを奪わなければならない。

私は彼の上に覆い被さり、唇を奪った。
舌を絡め、懐かしい匂いを全身で感じとった。衣服を脱いだ彼と肌を合わせてい抱き合うと、その逞しさを下腹部に感じて悦びが込み上げてくる。

「ずっとこうしたかった」

「私も」

息を弾ませて唇を重ね、彼を抱き締める。大切そうに乳房を揉む手のひらが懐かしく、乳首をつままれてつい小さな声を上げた。

「好きだよ、君にはわからないだろう」

「あなたこそ知らないくせに。どんなに私が……ああっ……」

乳房に顔を埋めた彼が乳首を甘く噛んだ。両手が背中から徐々に下りてきて尻を掴み、揉みしだかれるうちに足が開いていく。

「よく見せて」

……見てほしい――
膝を抱えて左右に開き、彼を求めている証を惜しげもなく晒した。

「あぁ、嬉しいよ奈津美、まだ触れてもいないのにこんなに……」

彼の息が掛かるだけでそこが蠢いた。視線が熱く刺さり、更なる刺激への期待が胸を震わせる。

「恥ずかしい……」

「綺麗だよ……」

太股を舌が這い、足のつけねまでゆっくりとなぞっては戻っていく。獲物を狙う男の視線がぞくぞくと背中を駆け抜ける。私はその危険な誘いに酔いしれ、女陰をしとどに濡らしててシーツに染みをつくった。

「ひ、洋さん」

「どうした」

熱い息がかかって腰がくねる。

「は、あぁ……」

「奈津美、わかるかい? 溢れてるよ」

彼の指先が、愛液が伝う道筋をつと撫でた。

「ぁはぁ……」

私は腰を浮かせ、彼の口元に女陰を近づけた。

「お願い……私の、ここ……」

「あぁ……、奥が動いてるよ奈津美」

「あ、熱いの……凄く、凄く熱い……」

焦れったかった。彼は私が欲する物を知っている筈だ。

「君の許しがないと私にはどうすることも出来ない、例えばこんな……」

彼の舌先が僅かに蕾を揺らした。

「ああっ」

それだけで腰が跳ね、達したようにびくびくと震えがくる。「許しは?」と、夫となる男が薄く笑った。

「あ、あなたの好きにしてください、私を好きにして……」

舌が蕾をくるりくるりと舐め、僅かに先端を舐め上げたきり刺激が止まった。好物を前にしておあずけを食らったような、切なさと苛立ちが広がっていった。

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