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私は犬
第14章 お友達?
「うわぁ。このヘルメスのポーチ、ピティちゃんの刻印付いてる。」

動揺して名前が全く思い出せない。今日初めて会った人が、そう言って、ポーチを手にとる。

「こんなの何処に売ってるの?まさか、これも偽物?」

違うわ。それはマルヤムがクロエのお家に特別オーダーした品よ。卒業の記念にってみんなにくれたプレゼントなのよっ。

そう言いたいのに、焦れば焦るほど頭の中から日本語が消えてゆく。


「少し前に噂になったよね。九宝さんに金持ちのパパがいるって。あれって、やっぱり本当だったの?」

笹木さん、何を言っているの?パパは居ないわ。亡くなったのよ…。

と言いかけて、口をつぐんだ。さっきみたいに、陰で噂されたくないもの。

「偽物買ってくれるパパが居てもねぇ…。」

池ノ内さん。やっぱり言葉に刺がある…。何で?

「でもさ、これとこれとこれは本物だよ。私も持ってる。」

今日初めて会った人がそう言ってくれたから、庇ってもらえたみたいな。そんな気分になった。

「うわぁ。ショパールだよこれ。」

「中のダイヤでかっ!」

「何で金色じゃないの?その方が似合うのに。中国成金みたいでさっ。」

まただ…。ちょっと!池ノ内さん!勝手にポーチの中まで開けないでよ!


「それは卒業記念に頂きました。」

やっと喋れた…。それは、おば様から頂いた時計よ。勝手に触らないでよっ。

※※※※※
※畳めるバーキン・ムーが元ネタです。
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