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私は犬
第14章 お友達?
「就職のお祝いに頂いたんです。」

「えっ?こんなパテックくれる人が居るの?すげー。」

「パテックってあれっすよね?音羽主任もしてますよね?」

野口さんがそう言うと、音羽主任が微妙に眉をひそめた…。

そして、一瞬だけれども、隣の笹木さんがこちらを強い視線で見た気がした。


孝徳さんに頂いた、この時計がどうかしたのだろうか。


「真子ちゃん、この時計、普通のパテックじゃないよ。世間の平均年収を余裕で越えると思う。オーダーか限定かも。」

「えーっっ!なにそれ!!」

誰かの黄色い声がした

「音羽主任のも見せて貰っていいですか?俺、時計好きなんですよ。パテック2本も見れるなんて眼福だなぁ。」

そう言って寺内さんは音羽主任の方へ移動した。

「いやぁ。これも凄いなぁ。自分で買ったんですか?これ。」

「いや、譲って頂いた品です。」

「羨ましいなあ。私にも紹介して下さいよ。そういう人。」

「はははは…。」

遠目に見た音羽主任の腕時計は私のそれとよく似ていると思った。同じメーカーだから当然なんだけれども。

普段は着衣から出にくい位置に着けているのだけれど。今日は眼鏡を取り返すために腕を伸ばしたから……。
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