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私は犬
第14章 お友達?
そして、まるで、そのまま肩に羽織るかのようにコートを大げさに広げて、その瞬間、全力で駆け出す。

「オイ、ゴルァ待て!」

男の怒声が響いて伸びた手がコートを捕む。迷っている暇は無い。コートから瞬時に手を離す。。


せっかく買って頂いたのに、おば様ごめんなさい。そう心の隅で詫びながら走った。


走って走って走って。肺から血生臭い嫌な味が呼吸とともに上がってきてもまだ走って、後ろを振り向いた瞬間、誰かにぶつかって咄嗟に口が動く。


「ハアハアハア…た…すけて…下さいっ!」

その人にすがり付くように訴える。

「ハアハア…助け…て下さい。け、警察を呼んで…。変な人に…追われて…。」

力の限りを振り絞った声のおかげか、はたまた、警察という単語の持つ威力の賜物か、通行人が数人、足を止めてくれた。

後ろをみると、ゼイゼイと息を切らせたあの男が、こちらをギッと見ながら立っていた。

「テメェ……いい加減に………しろや…。」

「お姉ちゃん、あのデカイお兄ちゃん、カレシかい?」

「ち、違いますっ。助けてっ。警察を!」

「クソがっ…っ。」
と、苛立つように男は吐き捨てると、歩道に置かれた自転車をガシャン、ガシャンと派手に蹴飛ばしながら去って行った……。


私、逃げ切れた?これで大丈夫?
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