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私は犬
第16章 人並みになりたい*
怖い顔しながら音羽さんが、そんな風に言うから、不安になる…。

「止まるの?飲むと?」

「お酒を飲んで運動すると、そうなる人もいる。」

知らなかった……。

「今日は諦めなさい。スタジオで倒れたら、皆さんに迷惑掛ける事になる。」

スタジオで倒れる自分を想像して、背中が寒くなった……。

「…そうね……。今日はそうする。」

「はい。これも食べて。」

何?このお料理?

「肉団子。こっちが海鮮焼きそば。お前、イカ好きだろ?」

へ?何で知ってるの?言ったっけ?……。食べないと、鼻を摘ままれて口に放り込まれる気がするから大人しく食べておこう…。

肉団子は大根と一緒に煮込まれた牛肉のスープ仕立てで、口にいれるとホロリとほどけた。大根を噛むとじゅわっとお肉の風味が広がって、なかなか美味しい。

烏龍茶で割ったのだとばかり思っていたお酒は、ジャスミン茶割りだった。なかなかいけてるわ。

「ねぇ。お話ってなあに?」

いろいろ口にして、〆のデザートの燕の巣を口に運びながら、何かが変だと思った。私もこの人に用があったような気がする…。何だっけ?これ…。何で必ずクコの実乗ってるのかしら?もしかして薬味的なもの?ネギとか……。大葉みたいな。それにしては味がしないわよね…。

「………。あれだ…。付き合わないか?」

「いつ?どこに?」
次は何のお仕事すればいいの?また通訳?

「そっちじゃなくて……。その…。アレだ。アレ。」

この間、マルヤムのお家で見た、DVDの中の、だっふんだ。って台詞を言う愉快な人が、同じ事を言ってたわ。じいさんや。アレ、アレだ。アレはどこやっただ?って。
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