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私は犬
第16章 人並みになりたい*
ねぇ。お酒まだ?薄いと飲んだ気しないのよ…。困るわ。

「人並みに?経験したと?」

「そうよ。おかげ様で、もう処女ではなくなったわ。お礼を言って無かったわね。どうもありがとう。」

あ。東京タワーだ!何で青いの?昔は青く無かったわよね。他には何色があるの??毎日この色なのかしら???

「こら。人とお話しする時は、相手の目をちゃんと見なさい。分かった?」

「…わかった……。」

ブーッブーッブーッ。ってしたい。思いっきり口を尖らせて。

「あれで人並みに大人の女になれたと?そう思ってる?あの程度で?」

あの程度??

「たったアレだけで?まさか、そう思ってる?」

え…。たった?アレだけ??

「残念ながら、君は致命的な間違い……。とんでもない勘違いをしているようだ。」

「違うの?一回じゃ駄目なの?あと何回やればいいの?」

嫌だわ。回数が足りないだなんて。とても困るわ。あんな事を何回もやったら、おマンコがとんでもない事になっちゃう…。

「人並みの女性になるためには、最低でも1年間、同じ相手と継続してセックスをする必要がある。普通の男性では駄目だ。特別な男性でなければ。

しかもだ。下手すれば1年よりもっとかかる場合もある。なのに、貴女はそれをご存知ない。どうやら、社会人としての、自覚も資質も足りないようだな。」

目の前に巨大な壁が見える…。巨大過ぎて山になってきた。このまま放置すれば、この問題は、隆起し続けて、山脈になって行く手を塞ぐわ。問題が小さなうちに善処せねば…。でも、どうやって…?

「最低でも1年間、貴女を抱き続けてくれる特別な男性に心当たりは?」

「ないわ。そんな特別な人知らないもの…。何処で探せばいいの??サザビーズのオークションで売ってる?私でも落札できる?クレカは使えるの?それとも小切手?お支払いはドル?ユーロ?円は使えるの??」

「落ち着いて、話を最後まで聞きなさい。」

「………。」大丈夫かしら。なんだかとても緊張するわ…。

「特別な男性の特別が、どんな意味か知りたいですか?」
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