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私は犬
第17章 契約
『遠くから見ると綺麗だけれども、近寄ったら噛まれたでしょう?綺麗なものが安全だとは限らないの。そういう時は、遠くから見て楽しむの。白鳥さんは見て楽しむのよ。ほら綺麗よ。見てごらんなさい。ここから見ているだけなら噛まれないわ。』

『本当だ。キラキラした湖に皆でプカプカ浮いていて、とても綺麗ね。……本当は噛まれた時、とても痛かったの。』

『あら、大変!見せてちょうだい。あらっ!血が出ているわ!早く帰ってお医者さまに診ていただきましょう。こんなお怪我を我慢してたの?泣かなくて偉いわ。強いのね。』

『マルヤムちゃんや尚紅(シャンホン)ちゃんのお家の方に連れてきて頂いても、近寄っては駄目よ。私が、お家の方にも、そうお伝えするわ。お約束守れる?』

『守れるわ。あたくし、もうお姉さんだもの。だから何でも出来るし、お怪我しても泣かないのよ。』


…………目を覚ますと、背中がポカポカした。そっと振り向いてみると、音羽さんは、やっぱり子供みたいな顔をして寝ていた。ちょっと触ってみてもいいかな?髪の毛とか。ちょっとだけ……。

そう思って触れてみると、サラサラして気持ちがいい。もっと触っていたいけれど、起こしたら大変だから今日はここまでね。

『見ているだけなら噛まれないわ。』

そうね。音羽さんも綺麗だけれども、安全とは限らないから。でも、遠くから見ているだけなら噛まれないわ………。
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