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私は犬
第17章 契約
さあ起きて!さっさと、やるべき事と、やらなければいけない事を片付けるわよ!柔軟体操を済ませて、お洗濯から始めましょう。

「お前、こんな所で何やってんの?」

起きて早々、朝の挨拶もしないうちから、何を言っているのかしら?この人は。見て分からないの?やっぱり頭に虫が沸いているの?

「お洗濯よ。」

「…………いや。そうじゃなくてだな……。」

やっぱり、この葡萄美味しいわ。カリフォルニア大学の葡萄の品種改良研究チームへの資金提供は正解だったわ。良い投資だった。

「なぜ、洗濯機の前に座り込んで、新聞を読みながら葡萄を食べているんだ?理由を教えてくれないか?」

「見張っているの。」

「うん。それで?なぜ見張ってる?」

あああ。もうっ!

「見張っていないと、終わった時にすぐ畳めないでしょ?すぐ畳まないとくちゃくちゃになるの。だから見張っているのっ!」

ああ。面倒くさいっ!

「……。なぜ3つ…。全部の洗濯機が動いている?」

いやだっ!そんな事も知らないの?

「はぁ〜っ。バスローブと、タオルと、パジャマ。分かった??」

「…………。そうか…。で、その新聞の束は?」

「見ての通り、今朝の朝刊よ。」

「………。全部?」

「そうよ。悪い?」

何なのよ。いちいち煩いわね。

「そのパソコンは?」

「株価とメールチェック。」

「その、出しっ放しの書道セットは?」

「お習字。毎日三枚練習するの。美しい署名はビジネスの基本でしょ。」

「…………。」

何なのかしら。プライベートには関与しないって、契約忘れたの?頭悪過ぎるわ。中に沸いているのは、馬蝿の幼虫ね、きっと。
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