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私は犬
第21章 赤い紐*
これ、モリシゲの家具だわ。マルアムのお兄様が大好きなやつ。あの一家、日本好きなのよね…。おば様がお土産に日本の白い生地をお渡しして以来、それでしかお洋服作らないし…。

「飲まねぇの?」

あ。いつの間に…。

「いただきます」

これ、なんだろう…。透明でわりとイケるっ!

「これオヤジが好きでさ。職業柄、飲酒は出来ねぇんだけど。コレでたまーに晩酌してた。」

そうなんだ…。いいちこって書いてある。というか…。

「落ち着かない家に住んでいるのはどうして?」

「俺の実家……。つうか、オヤジの生まれた家なんだけど。この部屋の真下に建ってたんだ。色々あって、敷地と居住権を交換した。そしたらさ、しょべぇ部屋よこしやがんの。悔しいから金足してここ買った。一番てっぺん。」

好きで住んでる訳じゃなくて、意地で住んでたの?変な人。そっか…。落ち着かねえなそりゃ。音羽風に言うと、こんな感じかしら?

ふと彼を見上げると。やっぱりどこか寂しそうで。きっと、亡くなったご家族を偲んでいるのだろうと。そう思った。

私達、同じだね。って声を掛けたかったけれど。その言葉はグッとお腹に飲み込んだ。

たぶん、今は何も言わない方がいい。ただ、誰かが側にいてくれさえすれば。独りじゃないってそう思えるから。少しホッとするから。だからちょっとだけ、こうして黙って隣にいてあげる。

間接照明の灯りがぼんやりともる、ほの暗い部屋で見る夜景は、やっぱりどこか寂しくて。まるで昔の楽しかった頃の想い出を遠くから眺めているみたいだわって。そう思った…。
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