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私は犬
第28章 アメリアの夢
応接室に案内されながら、見覚えのある方とすれ違った。んーっと…。確か、おば様とご一緒したパーティーで見たような…。経済界とか、そういう関係者の多い集まりだったような…。誰だっけ?

応接室に入って待っていると、担当の方がみえた。ご挨拶を交わして、名刺の交換なんかをして、

「お掛け下さい」

と、促されて、やっと座れる。面倒臭いのよ、日本のビジネスマナーってやつは。教えて頂いても、人によって言っている内容が違うから、何が正解かなんて全然っ、全く、わっかんないっ。

浅く腰かけて、黙って会話を聞いていると、女性社員の方がお茶を出して下さった。

と思ったのも束の間、さっきすれ違った人が入ってきて、オマケのように一緒に来た方が、目の前の担当者さんに耳打ちし始めた。あれ?

「どうぞ、掛けたままで。社長の竹井です。九宝さんですよね?総帥はお元気で……。」

思い出したっ!この控え目毛根おじさんっ!ここの社長だったのねっ!この万年ツンドラ冬頭!忘れて無いわよ…。

わざとらしく、ここまでやるか?って位わざとらしく、お茶が取り替えられた。さっきまでのお茶より緑色が濃い。これ、玉露ね。匂いがそうだもの。お茶うけまで付いてきた。ちなみに羊羮…。帰りたい。帰りたいったら帰りたい。
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