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私は犬
第30章 主導権*
ちょっと!何で固まるのよ。その目は何?そんなに大きく開いたら、目玉が床に落ちるわよ。口あけてないで閉じなさいってば。お口に虫が入ったらどうするの?あれ、ちょっと酸っぱいんだからねっ!

「どうしたの?私とセックスするのは嫌?」

「いや…。そういう訳じゃ…ない…。」

「絶対に怪我させないで。それ以外なら、好きにしていいわ。」

私が条件を提示するのだから、向こうの条件も飲まないとフェアじゃない。

「……分かった。」

あれ、有史さん、ちょっと目付きが変わってない?私、何かおかしな事を言った?

「…行こう……。」
「歯、磨きましょ。」

あ、被った…。こういう場合は、間違いなく歯磨きが優先でしょ。私が先導して2人で歯を磨く。準備があるから待てと言われて、ダイニングを片付けながら待っていると、有史さんがやってきて納戸へ連れていかれた。

「ここに吊るさせろ…。」

納戸へ入るなり、懸垂用のチンニングスタンドの前に立たせると、私を抱きすくめながら、有史さんはそう言った。

「吊るす?ここに?」

懸垂用の大きなスタンドだから、吊るす事は出来ると思う。耐可重も問題ないだろう。

というか、納戸がジムになってたなんて知らなかった…。あの綺麗な広背筋は、ここで作られたものかもしれない。
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