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私は犬
第33章 さよなら
「宗教って…。有史さん、仏教徒よね…?」

「ああ。」

仏教って、そんな変わった教えがあるんだ…。知らなかった…。

「これって、ずっと続くの?」

「…いや、推奨だから義務じゃない。余裕のある時はそうしろ。ってだけの話だ。お前は仏教徒じゃねーけど、俺がそうだから仕方ないよな。だろ?」

良かった。逝けないのがずっと続いたら…って考えるだけでゾッとしちゃう。はぁーっ…。逝きたくてお腹の奥がウズウズする…。お茶でも飲んで、気持ちを落ち着けなきゃ、やってなんないわ。

「ちょっ、お前そのままじっとしてろ。朝まで動くんじゃねぇ…。」

なんで動いちゃいけないのよ…。何か飲みいたのに。ぶー。

「……喉渇いた。」

「持ってきてやるから、絶対に動くなよ。そのまま枕から腰降ろすなよ。いいな?」

有史さんはシツコイ位に念を押してから、飲み物を取りに行った。逝くなとか動くなとか。セックスのやり方まで決まりがある宗教なんて、面倒くさいだけじゃないのよ…。カトリック教徒で良かった。

それから、有史さんにストローで飲み物を、寝たまま飲ませて貰って。腰に枕を当てて、じっと上を向いたまま足をマッサージして貰っているうちに、また、うとうとと眠りに落ちた。
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