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私は犬
第11章 【第2章】リスタート
「で?大丈夫だったでしょ?だから言ったのよ。心配し過ぎだって」

頑丈そうな歯で漬物をボリボリ噛みしだきながら、剛ちゃんが言う。どうやったらあんな豪快な音が出るのかしら?

「パリパリ…。」
駄目だわ。同じ音がでない。

「ちょっとあんた!人の話し聞いてんの?」

あ。いけない。お漬物に集中しすぎたわ。

「まったくもう…。」

「お話しって何だっけ?」

「だかーらっ!明日から早朝、あんたの会社の地下にあるスポーツクラブに通うのよ。」

「どなたが?」

「わたしよっ!」

「毎日?」

「そうよっ。悪い?」

「悪くはないけど。何で?」

「ああぁああ。まったくもう。あんたって人の話、何にも聞いてないんだからっ。嫌になっちゃう。」

剛ちゃんは、お医者様から運動を薦められたそうで。隠れ肥満なんですって。どうせならと、いい男との出会いを期待して、私の会社の地下のジムにしたらしい。

あのビルで働く社員は、みんなソコを格安で利用出来るそうで、早朝5時から営業しているらしい。

出社前の運動が推奨されていたのには、ちゃんと理由があったのね。自社ビルと福利厚生を使って社員の健康管理。考えた人は有能ね。
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