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この春 少女から、、。
第19章 最後の
お婆さんは子供みたいに大人しく 背中を流してもらってる。
仲の良い親子なんだろう、
湯気の向こうの二人を ぼんやり見つめていた。

ほとんど肉のないお婆さんと 少しふくよかなおばさん、
対照的な身体が 寄り添い合っている。

綾子は身体の向きを変えて 隅に移動して 肩まで 沈めた。
湯船って 気持ちいい。
別世界な気がする。
目を瞑ると うとうとと 夢との狭間に浮遊しているようだ。
小さい頃 よく母と近くの銭湯に行った。
湯船では 母の膝の上に乗って いつも数を数えた。

ある頃から九九に変わり 近所のおばさん達に褒められながら 逆上せそうになるまで 一緒に浸かった。

お母さん、、。

今は近いようで 遠いお母さん。
学校の話し 友達の話し テレビの話し よく話してたのに 中学に入ったあたりから 会話が極端に減った。

衝撃の浮気現場を目撃した事は 夢か幻かのように 綾子の脳裏に焼きついて 翌日からは 顔もまともに見れなくなった。
もしかしたら そんな変化を 母も薄々気付いていたのかも しれない。
自分の醜態が原因ではないかと。
確かめる事など お互い出来る訳もなく。
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