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束縛されるなら君に
第5章 5
自分で別れを切り出しておきながら、何て無様なんだろうか。
ついこの間、瀬田くんは外に向かって飛び立つ人だからとか何とか思ってたはずなのに。
大人ぶってみたところで中身は生徒たちと変わらない。

「彩ちゃん、どしたー?顔色悪くなーい?」

「そ、そう?最近寝れてないからかな?」

「もー、保健の先生がそんなんでどーすんの?私たちもう教室に戻るからちょっとは休んでねー?」

彼女たちの気遣いに、先生としてはダメだなぁ、って思いつつもほっとした。
上手く笑顔が作れない。

「松田、菜緒……か」

彼女のことは知っていた。
一年生の時は保健委員をしてくれていたし、何度か気分が優れないときに保健室に来たこともある。

茶髪の女子生徒が言っていたように、可愛くて守ってあげたくなるような、そんな女の子だ。



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