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戦国ラブドール
第20章 半兵衛は二度死ぬ
すると半兵衛は、怒るどころか心底安堵したように、温かい笑みを見せる。
「そうですか。あの子は、優しくしてくれますか?」
さらに突っ込んだ質問に、大海は顔から火が出そうになる。そして、思い返すのは、吉継と過ごした日々。体に刻まれた吉継は、頭を沸騰させる。
「聞くまでもありませんでしたね。あの子は、まだ生きている……それだけ知れば、充分です」
半兵衛がなぜ吉継の性を気にするのか、大海には理由が分からない。だが半兵衛が吉継を変わらず気に留め、可愛がっているのは明らかだ。大海は、今が一番の『機』ではないかと感じた。
(まだ、全然学び切れてないけど……半兵衛殿なら、分かってくれるかな。今……試してみようか)
「あの……半兵衛殿」
「どうしました?」
「一局、囲碁を打ちませんか?」
唐突な申し出に、半兵衛は首を傾げる。だが、今は元々囲碁の指導も兼ねた時間でもある。半兵衛はすぐ頷くと、大海を膝から下ろし碁盤を用意した。
「今日は、半兵衛殿の本気を見せてください。どこまで持ちこたえられるか、確かめたいんです」