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禁断遊戯~背徳と罪悪の狭間(はざま)で~
第2章 燻る感情



 呆然としたまま、車に乗った私は、彼がどこへ向かって走っているのか、判らないままでいた。
 私の反応を見て、そのまま家に帰ることはしないだろう――と、思っていたから。



――悠ちゃん……わたし、変だよ。
 なんで、こんな事に…………。
 きっと、わたしが悪いんだよね……。



「……オレ、父さんからちぃちゃん、取る気はないよ。邪魔もしたくないし……」



 ハンドルを握る彼は、そう言ってタバコに火をつける。

 呆然としながらも、彼の言葉に疑問に感じた私は、その理由を尋ねてみた。



「じゃあ、なんで……?」



 私の問いに対して、返って来たのは――。



「それをオレに聞くの? ちぃちゃんが悪いんだよ……夜な夜な、声聞かせるから」

「な……っ?!」



 ふぅっと小さなため息をつく彼は、肩を竦めながら、言葉を続ける。



「さっき言った……子供じゃないって。オレだって、男だよ。興味、持つでしょ?」

「……興味本位で、あんな事……したの?」



 からかわれている――そう思った私は少し声を大きくして、彼を横目で見つめた。
 すると彼は小さく首を横に振り、



「それは違うよ。ちぃちゃん、最初の頃から見ると、変わった。なんか、可愛くなったし、綺麗になった……年上の人に、失礼かもしれないけど」



 女なら嬉しくなってしまうような台詞を、平然と言ってのけた。

 あまりにも無表情で語る彼の姿に、呆気にとられ、言葉を失う私。



「…………」



――若い子って……みんな、そうなの?
 なんで、さらっと言っちゃうかなぁ……
 こっちが、恥ずかしくなる……。



 けれども、次の瞬間――。



「そう思い始めた時、あの場面に遭遇した。偶然だった……それで、ちぃちゃんの事、女として見る様になった。最初は母親みたいな存在だった。オレ、あまり覚えてないから、こんな感じなのかなぁ……とか、考えたりしたよ」



――覚えてないのかな……?
 そんなに小さい頃じゃなかったような……
 なんか、胸が痛いな……。



 聞こえて来た“母親”という言葉に胸が締め付けられる思いに駆られてしまった。


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