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禁断遊戯~背徳と罪悪の狭間(はざま)で~
第3章 偽り


 夕方、買い物を済ませた私は、再び悠の家を訪れた。


 ――あ、れ……?
 電気、点いてない。
 柊ちゃん、出かけてるのかな?


「まぁ……いいか。これ、あるし……。お邪魔します」


 以前にもらったカギで、ドアを開けた私はスイッチに手を伸ばす。
 明るくなった室内には、案の定、誰もいなくて、シーンと静まり返っていた。


「…………っ!」
「……に、……――の?」


 ――え……今、声が聞こえたような。
 気のせい……じゃない?
 何の……音……?


 電化製品の稼動音しか響かないリビングに、微かに聞こえた声。
 その声は、二階から聞こえてきて、それに伴って何かが軋むような音。

 それらのものに、何故か魅かれた私は、ゆっくりと階段を上がった――。


「――……っ?!」


 階段を上がり、悠の部屋の向かいが、彼の部屋。
 部屋のドアの向こう側から聞こえて来た声に、私は思わず両手で口を覆った。


 ――う、そ……どうしよう。
 下に、降りなきゃ……なのに、体が動かない。


 部屋の向こう側で、何が起きているのか――それに気づいた私はその場から離れようとした。
 けれども、体は言う事を聞かず、立ち尽くすだけ――せめてもの救いは、その声と音が聞こえないように耳を塞ぐ事だけ。
 それでも、これだけ近くにいれば、否が応でも聞こえてくる――。


「……ぃ……――……っ!」
「……いいよ。限界……だろ?」


 ――ひぇぇぇっ!
 こんな時間から……何、してるのっ!
 もうじき、悠ちゃん……帰るのに……。


 微かに聞こえて来た女の子の声と、彼の意地の悪そうな声が重なった後、部屋の向こう側が静かになった。
 そこでようやく、私の体は自由になった――気づかれないように、そっと階段を降りて、トイレに向かう。


「はぁぁぁ……びっくり、した。まさか……って、彼女いたんだ。でも……じゃあ、なんで昨日の夜……?」


 ――柊ちゃんのこと、よく判らないかも……


 私と悠の邪魔をしたくないと言っていた彼。

 肌を重ねられる彼女もいるのに、何故、昨夜のような事が起きたのか?
 そんな疑問を感じてしまった私は、トイレに入ったまま、小さな唸り声を上げて、考え込んでいた――。

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