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禁断遊戯~背徳と罪悪の狭間(はざま)で~
第1章 豹変
「……証明って、なに?」
彼の言っている事は、何を意味しているのか、すぐに判った。
それでも、これ以上進んではいけない――私の中で警鐘が鳴り響き、少しでも時間を稼ごうと、彼に尋ねた。
――柊斗くんの言っている意味は……判ってる。
でも……こんな事、悠ちゃんに知られたら……
そんなのは、絶対にダメ……
「……論より証拠、でしょ? 父さんのやり方……見せつける、だよね?」
悠は、いつも言っていた――相手を納得させるには、見せつける事が一番、だと。
その悠に育てられて来た彼だから、そのセリフが飛び出しても不思議じゃない。
けれども、まさかこの状況下で聞かされるとは思ってもいなかった。
「……っ! 確かに……私も教えて、もらった。でも……それとこれは、違う……っ?!」
――見せつけるやり方は、私も聞いた……
でも…………それとこれは、違う……え?
なんで、腕が………………っ?!
その時、自分に何が起きたのか、判らなかった。
今の状況から抜け出そうと、彼の肩に触れていた腕が、自分の頭の上にあって。
フッと小さく笑う声が聞こえて来た。
「……諦めも肝心。今の千夏(ちか)ちゃん……悪あがきしているようにしか見えない」
「――……っ!? は、放して……! い、いや……っ!」
私の両手首を押さえ、小さく笑う彼の声が、やけに耳に響く。
それは、私の中で鳴り響いている警鐘を、より一層大きくさせた。