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第3章 偽り

　浴槽の縁に座り、私の頭を撫でる悠の表情はとても穏やか。


「……やっぱり、気持ちいい……」
「ん？　そう、かな……勉強、しないと……ね？」


　そんな私は、縁に座る悠の前で正座をして、ゆっくりと両手を上下に動かす――泡塗れになった悠の猛りを。


　――悠ちゃん、気持ちよさそう……


　チラチラと、悠の表情を見ながら、動かす手を早めた私は、不意に体をビクつかせた。


「……千夏ちゃんのココ、硬くなってる。気持ちいい？」
「ぁ……ん……気持ち、いい……でも、あまりされると……」
「感じちゃうでしょ？　ココ、スイッチだもんね」


　外気に晒されて、主張を遂げた膨らみの先にある頂。
　悠は少し口角をつり上げて、そこばかり攻めてくる。


「ん……で、きない……よ？」
「はははっ、そうだな。じゃあ……今度は千夏ちゃんの番」


　じわじわと、愛撫されている頂から広がる甘い痺れに、体を捩らせる私。
　悠の猛りを愛撫していたはずなのに、今度は逆の立場になってしまった。


「ん……っ、はぁ……あ……っ」
「泡、じゃないよな？　千夏ちゃん、俺の握って……濡れた？」
「ぁ……っ！　や……指、だめ……っ」
「ん？　何の事？」


　悠の前で立ち膝をする私は、息も絶え絶え。
　足の間で、妖しく蠢く悠の手は、その場所を撫で回し、水音を立てる。

　ヌルッとした液体が私の内股を伝い、思わず身を竦めた。


　――悠ちゃんの、意地悪……


　グッと、入り込んできた二本の指。
　指の付け根まで深く埋められ、突き当たった場所を、指の腹で引っ掻いてくる。

　それが、私にとってどういう場所なのか、悠は知っていて、故意にその場所への刺激を強めた。


「ぁあっ！　や、そこ……は……っ！」
「知ってる……でも、まだイカせてあげない。続きは、部屋でね？」


　ゾクゾクと、全身が泡立つような感覚に、大きく首を横に振った私は、悠の肩をグッと掴む。
　すると、悠はその動きを止めて、私の中からゆっくりと指を抜いた――。