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禁断遊戯~背徳と罪悪の狭間(はざま)で~
第3章 偽り

事が済んで、ゆっくりとした時間を過ごしていた時、私の首元に悠の指が触れる。
「これ、どうしたの?」
触れた場所には、少し大きめの絆創膏が貼られていて。
私は、苦笑いをしながら、口を開いた。
「あ……昼間、家に戻った時、掃除してたんだけど、窓を開けてるのを忘れて、ドアの角にぶつけたの。薄皮が剥けて、絆創膏貼ったんだ」
「まったく……気をつけないと」
「……うん」
呆れたような顔をした悠は、小さなため息を吐く。
嘘とは言えど、心配させてしまった事には変わりないと思った私は俯いた。
「いいよ……俺、別に怒ってないからね」
項垂れた私の頭を優しく撫でる悠は、そう言って小さく微笑む。
悠の優しさが、痛いくらいに伝わってきた私は、急に睡魔に襲われて――。
「ん……少し、寝ようかな?」
「そうだな……おやすみ」
「おやすみなさい」
それだけ言葉を交わすと、私は眠りの世界に引き込まれて行った――。
「――――…………」
数時間後、私はゆっくりと目を開けた。
時計を見れば、午前一時を少し廻った所。
悠は、気持ちよさそうな表情で、眠っている。
“千夏ちゃん、柊斗が成人したら、一緒に……”
――悠ちゃん、ぐっすり寝てる。
ずっと、一緒に居たい……よ。
でも……今は、まだ無理……かな。
半年くらい前に、悠から告げられた言葉。
悠の傍らにいたい――そう思うも、古傷はまだ癒えない。
忘れかけていたのに……その矢先の彼との出来事。
私の中で鮮明に残る忌々しい記憶が呼び戻されてしまった。
――あれは、私にも隙があった。
悠ちゃん、いつもそばに居てくれたから……
安心しきっていたんだ……ね、わたし。
「……ごめんね」
ぐっすり眠っている悠を起こさないように、そっとベッドから降りた。
何も纏っていない体は、冷たい空気に晒されて、少し身震いをする。
――え……これって、キスマーク……。
悠ちゃん、つけないって……なんで?
鏡の前で、下着を身につけている私の目に飛び込んできた赤い痕。
それは鮮明で、彼に付けられたものとは、明らかに違うものだった。

