この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断遊戯~背徳と罪悪の狭間(はざま)で~
第4章 記憶

「えっ?! 違うわよ! ちょっと考え事してたの」
「ふーん」
直人とのやり取りはいつもこんな感じ。
異性としての魅力はあるけれど、私の中では対象外。
「な、に……その、キラキラした目は!」
「それ、聞いてやってもいいぜ。一人より二人って言うし……」
私が真剣に悩んでいるのに、そう言って、キラキラと目を輝かせる直人。
ごもっともな意見を述べると、ニッと笑って、お兄さん風をビュウビュウ吹かせる。
――確かに……一人で悩んでも答えは出ない。
答えを出さないと、すっきりしない。
「じゃあ、昼休み……話、聞いてくれる?」
「わかった。んじゃ、昼休みな」
直人の言うとおり、一人で考えるよりは……そう思った私は、直人に相談してみる事にした――。
昼休み――職場から、近くの公園に場所移した私と直人は、ベンチに座り、昼食を摂った。
――直人、家では禁煙だって言ってたっけ。
あ……はるちゃんと同じタバコだ。
職場も分煙だし……知らなかった。
「……で? その悩みとやら、話してみろよ」
「あ……うん。あのね……実は…………――」
食後のこれがうまいんだ――そう言った直人は、煙草に火をつけて、白い煙を辺りに漂わせる。
直人が火をつけた煙草の銘柄が、悠と同じだと思いつつも、あまり思い出したくない記憶を呼び起こして、事の次第を話してみた――。
「なるほどな……けど、十中八九、彼氏は気づいていると思うぜ?」
私の話を聞いた直人は、少し難しい顔をして、静かに口を開く。
「やっぱり、そうなのかな……」
「あぁ……で、その柊斗も、おとなしく引き下がるとは思わない」
「う、ん……それはなんとなく、解る」
――やっぱり、悠ちゃん……知ってたんだ。
絆創膏の下、傷じゃない事……。
直人に打ち明けて、明確になったのは、悠が、自分がいない間に、私の身に何かあったと察しているという事。
そして同時に、彼――柊斗くんもまた、チャンスを伺っているという事だった。
あの時、私に向けられた視線は、狙った獲物は逃さない――という彼からの警告。

