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禁断遊戯~背徳と罪悪の狭間(はざま)で~
第4章 記憶

――この前も思ったけど……。
でも、この繋ぎ方は……ちょっと。
悠の手はいつも温かく力強さを思わせるけれど、彼の手にはそれは感じられない。
けれども、細く長い指先は、私の心臓を速めるには、十分過ぎるほど、色気を感じた。
心臓の音が、繋がった手から伝わってしまうんじゃないかという思いとは裏腹に――。
「ここでしょ? ちぃちゃんの家……」
「……あ、うん。そう、だよ……ありがとう」
彼のその声が聞こえて来て、繋がれた手は自然と離れていく。
ふと見上げれば、そこは自分が住んでいる場所。
気づけば、冷えた指先は温かくなり、頬の熱も少し引いていた。
――ここまでの距離が、長く感じた。
手も……温かくなってる。
「ちぃちゃん、あのさ、悪いんだけど…………――――る?」
“トイレ、貸してくれる?”
「え……あ、いいよ。ちょっと待って……鍵、開けるから」
「ごめん」
――一瞬、可愛いと思ってしまった。
あんな事してきて、トイレくらいで照れるって……
少し冷静になった私の耳元で聞こえてきた彼の言葉に、私は思わず顔が綻んでしまう。
照れくさそうにしている彼の姿を見ていると、あんな事をしていても、まだ子供なんだな、と思い、何の警戒もなく、自分の部屋に招き入れた。
「トイレは、その扉だよ。私、着替えてくるね」
「わかった」
部屋に入り、それだけ言葉を交わした私と彼は、それぞれの方向へ――。
家に着いた安堵、そして……一番安全だと思っている自室に入った私はホッと息を吐く。
部屋のドアをしっかりと閉め、ベッドランプをつける。
「はぁ……疲れた。どうすればいい……悠ちゃん。まだ……ダメみたい」
悠が来るまで時間があるから、部屋着を纏った私はそのままベッドに沈み込む。
天井を見つめ、あの日の事を思い出しながら、小さな独り言を呟いた。
“男としてみろ”
“十中八九気づいてる”
「……それは、ないよね、うん」
ふと、過ぎった直人の言葉。
気づいたとしても、先日の今日で、悠が動くはずがないと思った私は、すぐにその考えを打ち消した。

