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禁断遊戯~背徳と罪悪の狭間(はざま)で~
第4章 記憶

「誰にでも、言えないことの一つや二つはあるの。ただ……さっきの事は、柊斗くんはまったく関係ない。あの震えは、昔の事を……思い出したから。あの夜……車の中で起きた事に、怖さなんて……なかった。でも……悠ちゃんに対して、罪悪感を覚えた」
過去の事は話せない――けれど、あの日……車の中で起きた時の事を伝えた。
すると、彼の腕の力が弱まり、私の体は少し自由が利くようになる。
「罪悪感?」
「……そうよ。悠ちゃんがいるのに……自分は何をしているんだろうって。柊斗くんだって……彼女がいるのに、そうは思わないの?」
「彼女って、愛奈の事? 彼女じゃない……そういう気持ちは持ってない」
私の問いに、淡々と答える彼の声色に、焦燥感を覚えた。
確かに感情はなくても、セックスは出来る。
事実、私と悠も、最初はそうだったから――。
――今、なんて……言ったの?
恋愛感情はない……?
それなのに、あんな事……するの?
愛奈ちゃんの表情は…………。
でも、彼女の表情から伝わってきたものは、間違いなく恋愛感情。
あの時聞こえて切ない声も、それを思わせた――。
「じゃあ……なんで、悠ちゃんに会わせたの?」
「それは、嘘が吐けないちぃちゃんのため。俺に彼女の存在があれば、父さんも安心するでしょ? まぁ、何となく……気づいているみたいだけど。ちぃちゃんの変化に……」
度肝を抜くような彼の台詞に、私は呆気に取られて、何も言えなくなる。
「…………」
――それって、愛奈ちゃんを利用してるんじゃ……
それよりも……私の、変化って……?
悠ちゃん、気づいていて……あんな事を?
同時に、脳裏を駆け巡るのは疑問符ばかり。
キスマークの事も、愛撫する指先も――あの日はいつもと違っていた。
「だけど、相手が俺だというのは気づいてない。灯台下暗し……ってやつだね」
「なっ?! や……っ、離れて! 理由、話したんだよ……もう、部屋から出てって!」
愉快気に喉を鳴らして笑う彼に対して、無性に苛立ちを覚えた私は、少し口調を強くして、言葉を放つ。
自分の持つ力を全てで、彼の胸板を押し、距離を開こうとした。
けれども――――。

