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禁断遊戯~背徳と罪悪の狭間(はざま)で~
第4章 記憶


「無理だよ……気づかなかったちぃちゃんの負け。それとも、気づいていたのかな? 俺が待ち伏せしてた事……」


 その台詞を聞いた瞬間、改めて痛感した――。
 そして、私の過去など関係なくて、いつもチャンスを狙っていて。

 私が過去に囚われて、恐怖に慄いた事を除いては、全て計算のうち。


「……っ?! し、知らないっ! もう、帰って……お願い。これ以上は……っ!?」


 いくらもがいても、彼の力に敵う訳がないが……精一杯の抵抗を試みる。
 その最中、信じられない言葉が彼の口から飛び出した。


「父さんが来るから、出来ない?」


 なんて事を言うんだろう――そう思った瞬間、私の中で警鐘が鳴り響く。

 この状況を、何とかして脱さないと、取り返しのつかない事に。
 罪がまた一つ増える――本能でそれを悟った。


「な、何言ってるの? 来なくても……出来る訳が、ないっ!」


 私の心中とは真逆で、彼の声は穏やか。
 もがけばもがくほど、彼の腕の中で雁字搦めになっていく私。
 そんな私に対して彼は、小さく笑って問い掛ける。


「……ね、知ってる? 父さんが残業で帰って来る時間……」


 悠が残業の時は、九時頃には連絡が来ていた。
 それからまもなくして、チャイムの音がして、出かけるというのが、いつもの流れ。


「知ってる……いつも、九時頃来ていたから」


 まさか、自分で吐いた言葉に足元を掬われるなんて、思ってもいなかった。
 無論、彼が私の言葉で動じるはずもなく――。


「今、七時だから、九時まで時間、あるでしょ?」
「や、だ……はなし、て……っ!」
「無理……せっかくのチャンスだし。心配しなくてもいいよ……このままでも出来るし、ね」


 鳴り響く警鐘はより一層大きくなり、焦燥感を募らせる。
 私の心の揺れを、煽るかのように彼の言葉は紡がれて――隙あらば、私の中に入り込み、感情を翻弄する。

 それはまるで、悪魔の囁き――――。


「や……っ!」


 逃げれば逃げるだけ、彼は追いかけてくる――私が逃げる何倍もの早さで。
 身を捩れば、引き寄せられて、彼との距離はゼロ。


「……残念だったね。ちぃちゃん……」
「ま……っ、んんっ!」


 自分の唇が温かいと感じた瞬間、私の中でまた一つ、罪が増えた――。

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