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禁断遊戯~背徳と罪悪の狭間(はざま)で~
第1章 豹変
「ちぃちゃん、そろそろ限界なんじゃない? 触って欲しくないの?」
「…………」
何かを問う時の表情は、今は居ない、悠の事を思い出させる。
判っているのに、それを私に言わせようとする、意地悪な所。
まるで、悠が私の体を愛撫する様を見ていたかのように、同じ動きをしてくる彼の手。
――見られていた……訳、じゃないよね?
体が、熱くなる……
「意地っ張りで、頑固。オレはその方が好都合、かな?」
「……こんな事、良くない……ね、お願い……っ」
少し前、悠に言われた台詞を、彼に落とされた私は、再び懇願してみる。
すると――どういうわけか、彼は私の体を愛撫する手を止めて、小さく喉を鳴らして笑う。
「さぁ……それは、ちぃちゃん次第かな?」
「な……に、それ……」
――私、次第……どういうこと?
彼の言っている意味が、今一つ理解出来ない私は、それを尋ねてみた。
「キス……させてくれたら、今日のところはやめてあげる」
「?! そ、れは……だめ!」
その場凌ぎとはいえ、今ここで彼とキスをするのは、絶対に危険だと思った。
昔の私――悠と知り合う前の私ならば、イエスと答えていたのかもしれない。
今の私は、唇でさえ性感帯になってしまうほど、変わってしまった――――。
『キス、してもいい?』
遡る事、数年前――悠と一番最初に肌を重ね合わせた時の事。
そういう事には疎かった私は、そんな事わざわざ聞く事でもないのに……と思っていた。
もちろん、セックスに対するイメージも、初体験があまりも悪かったから、キスだけで感じるとは思っていなかった。
――な、に……これ…………?
体の力が、抜けて……いく……?
『千夏ちゃんは、キスだけでも感じるんだね』
その時の事を、鮮明に脳裏に蘇らせた私の体は、更に熱を増していく。
「やっぱりね、そう言うと思った。キスしちゃうと戻れなくなるもんね」
「……な、んで……それ……」
「ちぃちゃん……判りやすい。言ったでしょ? 全部聞こえてるって。父さんを欲しがる声も、イク時の声も……ね」
私の動揺を煽るかのように、そう言い放つ彼の口元は、妖しくつり上がっている。
同時に、私の体を這い回っていた手も、再び動き出した――。