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今宵、君の全てを
第1章 今宵、君の全てを
クスリと拓真さんに笑われた。
「ね、ますみ」
柔らかなテノールが耳朶を擽る。
「空腹過ぎて限界なんだけど?」

あっお昼、寝てたから……

気が回らずに何も買って来なかった事をちょっと悔いて
「ごっ、ごめんなさい」
咄嗟に謝っていた。
拓真さんが大きな手で私の頬をそっと包む。
「良いよ。俺が満足するまで食べさせてもらうから」

……?

意味が分からず見上げた私に
「真純に拒否権は、ないから」
また上がった右の口角。

あ、もしかして……
でっでも、空腹って……

何か言わなくちゃと思うのに、圧力を掛けてくるその雰囲気にのまれて言葉が出て来ない。
雄の目をした拓真さんに見詰められ。
「た、たくまさん」
呼びかける声が掠れた。
「うん?」
「ご、ごめんなさい」
震えた声に拓真さんの目が弧を描いた。
「真純はさっきから何に謝ってるの?」
「……な、なかなか戻れない事、と」
「うん」
「きょ、今日せっかく早くから来てくれたのに」
「うん」
促してくる声は優しい。なのに両手を頭の両脇に縫い止められてゾクゾクする。
「今まで待たせてしまった事、です」
「そう。……なかなか戻って来ない事も、俺を待たせた事も悪いって自覚があるんだ?」
少し首を傾げて聞いてくる。
「……は、い」
頷いた私にニコリと笑って
「じゃあ、そのお詫びは真純を好きにさせてもらうって事で良い?」
「……お、お詫び、ですか?」
私を見下ろす瞳に宿る緋が深くなる。
「そう、俺本気で限界、だから」
いつもより低い拓真さんのテノールに身体が痺れた。

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