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今宵、君の全てを
第3章 おまけ
「ルームサービスにホットケーキ頼んだんだけど」
胸に押し付けられた頭に拓真さんの優しいテノールが直接響いてくる。こうやって話をしてるとすごく幸せな気持ちになる。
「はい、美味しそう匂いがします」
「うん、美味しそうなんだけどね」
「はい」
「冷めても良い?」
「……え?」
その意味を考えようとして
「ひぁっ」
背中を伝う指に身体が先に反応した。
「あっ、やん!」
逃れようにも後ろはすでにベッドの縁ギリギリで。
「ま、まって、んっ」
身体を仰向けに倒されて唇が重なる。さっきとは違う舌を絡ませる深いキス。

あ、だめ……

簡単に呼び起こされる情欲の熱。
どんなに重ねてもまた、拓真さんが欲しくなる

「待てない」
掴まれた手が導かれたのは、拓真さんの……
「あ……」
ズボンの上からでも分かる。
「待て、ない」
繰り返されてドキッとした。
「真純」
甘いテノールにゾクリと震えて。
「良い?」
熱の込められた眼差しに酔わされて。吸い寄せられるように頷いていた。
ふっと緩んだ目元。
「ありがとう」
お礼を言われて気恥ずかしくなる。拓真さんが欲しいのは私も同じ、だから……
応える代わりに拓真さんのベルトに手をかけた。
瞬間拓真さんが驚いたように目を大きくして。すぐに甘い笑みに変わる。
「可愛いね、真純」
柔らかな声で名前をなぞられた。
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