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第29章 契約の熱

「学園に戻らなくて いいんですか…ｯ？いくら銀バッジを持っていても、LGAの規則では…──」

「──…あそこには、戻らない」

「え…!?」


いとも軽く言ってのけたカルロに、ミレイは度肝を抜かれる。

顔を隠していた手を下げて、顎を引いたまま上目遣いで彼を見た。


「戻らな い……？」

「そうだ」

「そんな事許されません！規則を守らないと退学になってしまう…っ」


ミレイは今の状況も忘れて、純粋にカルロを心配した。

彼ほどの有能なガードマンが退学処分になるなんて信じられない。

──いや、相応しくない。

自分なんかのために彼の人生を棒にふりたくない。


「退学なんて駄目です！LGAには…ちゃんと戻ってください」

「…退学？──…ﾊっ」

「…!?」

「この俺に…そんな侮辱。…あり得ない」


しかし、どういうことだろう。

カルロはその語尾に少しの迷いも感じさせない声で、余裕たっぷりに笑うのだ。