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インスタントコーヒー
第1章 トラウマ

遊ぶ子供達の無邪気な声が消え、車が走る無機質な音ばかりが響く。気づけば太陽が赤く染まっていた。

河川敷のアスファルトの一本道をトボトボ歩き家路についた。

制服のブラウスが汗で肌に張り付いて気持ち悪い。

「あら、アヤ、おかえり。遅かったじゃない。ユイちゃんかタクちゃんの家に行ってたの?」

お母さんはキッチンからいつも通りのひょうきんな声を出す。

食卓には3つのランチョンマットが並んでいた。

呑気な雰囲気漂う空間は、昼間帰って来たのと同じ場所だと思えない。

「アヤ、明日の運動会、お父さんと一緒に見に行くからね。早く行って場所取りするからアヤも早起きしなさいよ。」

そのうちお父さんも仕事から帰り、3人でたわいもないおしゃべりをしながら夕食を食べ、お風呂を済ませテレビを見て、おやすみを言ってベッドに入る。何らいつもと変わらぬ夜を過ごした。
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