この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
インスタントコーヒー
第1章 トラウマ
遊ぶ子供達の無邪気な声が消え、車が走る無機質な音ばかりが響く。気づけば太陽が赤く染まっていた。
河川敷のアスファルトの一本道をトボトボ歩き家路についた。
制服のブラウスが汗で肌に張り付いて気持ち悪い。
「あら、アヤ、おかえり。遅かったじゃない。ユイちゃんかタクちゃんの家に行ってたの?」
お母さんはキッチンからいつも通りのひょうきんな声を出す。
食卓には3つのランチョンマットが並んでいた。
呑気な雰囲気漂う空間は、昼間帰って来たのと同じ場所だと思えない。
「アヤ、明日の運動会、お父さんと一緒に見に行くからね。早く行って場所取りするからアヤも早起きしなさいよ。」
そのうちお父さんも仕事から帰り、3人でたわいもないおしゃべりをしながら夕食を食べ、お風呂を済ませテレビを見て、おやすみを言ってベッドに入る。何らいつもと変わらぬ夜を過ごした。