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インスタントコーヒー
第1章 トラウマ

まだまだ幼い私は知識も少なかったが、お父さんとその女の人が何をしているのかはすぐに分かった。

夜中にやっているちょっとエッチなドラマで見た光景と同じだった。

胸がぎゅうっと苦しくなった。
喉がカラカラに乾き、声も出なかった。

たまらず家を出て、近くの河川敷まで走った。

涙がドバッと溢れた。
喉の奥がかあっと熱くなって、嗚咽が漏れる。

あんなの、わたしのお父さんじゃない。

『ちょっと怖いけど力持ちで優しいお父さん』は音を立てるように崩れてしまった。

何度も何度も脳裏にあの時のお父さんが浮かぶ。
なんだか不気味で怖かった、お父さんの姿。

わたしは時間が経つのも忘れひたすら泣き続けた。
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