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インスタントコーヒー
第6章 本当の気持ち〜結城先生side〜
俺はもう26。職も持っている、いい歳した大人。
アヤは10歳も離れた学生、しかも俺の生徒。
それなのに、俺に抱きついたこいつの
子犬みたいな大きい濡れた瞳と
柔らかい黒髪から香るシャンプーの匂いは
俺の理性を大きくかき回した。
俺は唇を重ねていた。
自分の中で湧き上がるものが
抑えられなかった。
でもアヤはそうじゃなかった。
ドンっと胸を強く押され、
ソファーの肘掛けで腰を強く打った。
痛え…
アホかよ、俺。
さっき目の前にあったアヤの顔が
すごく遠くにある。
目を丸くして、唇に手を当てて小刻みに震えている。
アヤが求めてたのは俺、自身じゃない。
精神的にズタズタになったアヤが求めていたのは
誰かの、自分を受け入れてくれる手。
それは、別に俺じゃなくても、いい。
考えればわかるだろ。
俺はこいつより人生経験を多く積んだ大人らしく、
まだ若いこいつを包容してやらなきゃ
いけなかった。
俺は今最高にかっこ悪い。