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インスタントコーヒー
第8章 疑惑
周りを一度確認して、
先生のマンションに入る。
6階のエレベーターの正面の部屋。
いつも通りインターフォンを押す。
「せんせ…」
「ごめん、アヤ。一応連絡したんだけど、
今日はごめん…」
先生は扉から顔だけ出して
私の言葉を遮って早口で言った。
返す言葉を探して立ち尽くす。
その時。
先生の後ろのお手洗いの扉から
女の人が出てきた。
「先輩、その子どうしたの?」
23、4くらいの
ウエーブのかかった栗色の髪の毛で小柄で
小動物のような可愛らしい女の人だった。
「ごめん、アヤ。また明日学校でな。」
先生は慌てたように小声で言って扉を閉めた。
ガチャン、と鍵が閉まる音がした。