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インスタントコーヒー
第8章 疑惑
いつのまに、こんなに
欲深くて嫌な人間になってしまったんだろう。
嫌でも想像してしまう。
先生の手で、優しく撫でられて、抱かれる
あの人の姿。
ぎゅっと優しく温かく包まれるだけで
いいと思っていた。
全然そんなことはない。
好き、と思われたい。
恋人になりたい。
私だけを見てほしい。
一度も手を繋いだことがない。
2人で外を歩いたこともない。
人に言うことができない関係。
それなのにドロドロした汚い感情が
こんなに溢れてくる。
先生の家から橋を渡って
川沿いのアスファルトの道を通り、自分の家に帰る。
行きも見た、やたらに大きくて赤い月に
挑発されているような気がする。
胸の奥から溢れ出してくる淀みは
全部涙になっていった。