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インスタントコーヒー
第8章 疑惑

翌朝。

まだ溶けきらない気持ちに
追い打ちをかけるように、

クラスメイトが何やら私の方を向いて
ヒソヒソと話しているのに気づいた。

ユイとタク以外には
無愛想な態度をとっている自覚はあるから
好かれてはいないのは分かっていたが
それでも、このようにあからさまに
ヒソヒソと話されることは今までなかった。

嫌な予感がした。

良くないことは
続けて起こるものだ。

居心地の悪さに教室を抜け出すと
向こうからちょうどタクがやってきた。

タクは私を見つけると早足で駆け寄る。

「ちょっと来い」

タクは大きな日に焼けた手で私の腕を掴んで
人気のない非常階段まで連れてきた。

「痛いよ、タク」

今まで、優しいタクしか見たことがなかった。
こんな強引なタクは初めて見た。

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