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インスタントコーヒー
第10章 向き合う
先生は優しく微笑んでうなずいてくれた。
「頑張れよ、アヤ。」
先生はぐっとコーヒーを飲み干した。
「そろそろ行くな、アヤ。
金は払っとくからゆっくりして行け。」
先生は立ち上がって
最後に私の目を見て
「ありがとな、アヤ」
そう言って、店を出てった。
終わった。完全に終わった。
やっぱり切ない、苦しい、
もっと一緒にいたかった。
結局好き、も言ってない。
先生はわたしのこと、
遊びだと思ってたのか
かわいそうだと思ってたのか
それとも…
なんてことも聞けなかった。
けれど、
先生が最後に言ってた
ありがとう
に全て詰まってる。
先生の言葉が
何度も頭でこだまする。
悲しくて涙は止まらなくて
心臓は締め付けられたままだけど
なんだかほっとして、温かくて、嬉しくて
これで、よかった
そう思った。